エアコンが冷える理由はガスの気化熱
今回はカーエアコンに使われている「エアコンガス」について解説をしていきます。
まずはエアコンが冷える理由の「気化熱」から。
いきなりですが結論です。カーエアコンが冷える理由、それはエアコンガスの「気化熱」。
気化熱は「液体が気体になるときに周辺の熱を奪う」現象のことで、私たちの日常生活でも体感することができます。いくつか例をあげて、気化熱について解説していきたいと思います。
①アルコール消毒
病院で注射を打つ前にアルコール消毒をしますが、そのあとにとてもヒンヤリとします。
これは液体のアルコールが肌の熱を奪って気体に変化するからです。
②打ち水
暑い日の庭や道に水を撒くことで、液体である水が地表の熱を奪って気体になります。
これも気化熱を使って涼しくなる方法です。
③氷に当てた風
氷に当てた風が涼しいのも気化熱によるものです。
室温の風が氷に当たります。氷から解け出た水が空気中の熱を奪って気化、冷風になります。
ここでは水やアルコールを例にして解説しました。カーエアコンに使われているエアコンガスは、水やアルコール以上に液体や気体に変化しやすいように作られてます。
つぎはそんなエアコンガスにもいくつか種類があって、それぞれに特徴があるという事を解説していきたいと思います。
エアコンガスの種類と特徴
気化熱の次はガスの種類と特徴について解説します。
エアコンガスにはいくつか種類があります。大きく分けて「R12」「R134」「R1234」の3種類があって、それぞれにおおきな特徴があります。
車種や年式によって使われていたり使われていないものなので、特徴を覚えておくと役立ちますので、ひとつひとつ解説してきます。
①R12ガス
R12ガスはフロンガスの一種で、主に古い車のカーエアコンに使われていたガスです。
1995年までで生産終了していて、それ以降に生産された車には使われていません。
とはいえ今でも割と需要があるのでネットオークションなどで一缶数千円で取引されたりしています。
R12ガスの一番大きな特徴は、フロンガスの一種ということで大気中に放出されるとオゾン層を破壊してしまうという事です。
「エアコンの冷えがよい」という理由から、いまでもR12仕様のカーエアコンを修理し続けているユーザーもいるようですが、環境保護の観点から基本的には使ってはいけないと覚えておいてください。
R12仕様のカーエアコンを修理する場合は「R12対応ガス」という製品も流通しているのでそちらを使うようにしましょう。
R134aガス
R134aガスは今現在の主流を占めるエアコンガスで、ほとんどの車に使われています。
R12と違いオゾン層を破壊しないガスではありますが、それでも大気放出することは禁止されています。
理由は温暖化係数という数値が高いためで、簡単に言うと地球温暖化を促進する効果があるガスだという事です。
現在主流のガスだと言いましたが、しかし新たに生産されている車には使用されなくなってきています。これもまた環境保護の観点から、もっと環境負荷の小さいガスに切り替わっていくためです。
R1234yfガス
R1234yfガスはこれからの主流となっていくエアコンガスです。
これまでのガスと違い環境負荷が無いとされ、大気開放しても問題ないと言われています。R12やR134は大気中に放出されても分解されないため
このR1234yfは分解されるため大気放出が可能となっています。
とはいってもまだ流通し始めたばかりという事もあるのでしょう、これまで紹介したエアコンガスと比較すると非常に高額なガスとなっています。
ひところに比べればだいぶ落ち着いてきた印象ですが、それでもR134aと比べるとひどい時では10倍近いといっても大げさではないくらいの値段でした。
そのため「もったいない」という理由から、普通は大気開放することはまずありません。
いかがだったでしょうか。カーエアコンに使用されてるエアコンガスでなぜ冷たい風ができるのか、そのガスにはどういった特徴があるのかを解説してきました。
これからも嚙み砕いた内容で皆さんに役立つ情報を発信していきたいと思います。